川邊りえこさんのアトリエ
 

川邊りえこさんから突然電話がはいる。
いつものように青竹の注文だ。
どんなに忙しくしていても、なぜか断れない。
やりくりつけて竹林へとんでいき、竹を選び切り出す。

彼女は東京からスポーツカーを飛ばして鎌倉へやってくる。
マルコメ味噌の「極める」のTVコマーシャルのイメージよりも若々しく
笑顔が素敵で大輪のバラの花のようだ。

アトリエは太平洋が眼下に広がる七里ガ浜の崖の上にある。
庭に出れば真下にはR134号線や大勢のサーファーが遊ぶ。
柵が無いので下を覗くスリルが面白く、必ず見に行ってしまう。
少し下がれば空と海ばかりだ。
天気の良い日は水平線の彼方に伊豆大島が見え、ヨットが光る。

「竹丈庵」という名のごとく、白竹のストライプが美しいアトリエだ。
打ちっぱなしのコンクリートに竹をふんだんにあしらい、広い透明な
ガラスが景色も取り込んで不思議な空間をかもしだす。

二階には茶室もあり、竹と海と空にかこまれて頂くお茶は、きっと新しい
不思議な感動を呼ぶことだろう。

アトリエに切りたての青竹を5本立てる。
竹の枝、葉も切り整える。
指示された位置に窓をあけると、季節の花が入れられる。


さあ、準備は整いました。

今日はどんな作品が生まれるのでしょうか。
または、どんな素敵なお客様をお迎えするのでしょうか。


   川邊りえこさん

   書道家でアーティスト、茶道、香道、

   日本雅藝倶楽部/にっぽんや工房 主宰