江の島 魚見亭からの夕日

 

冬の午後、空を見上げて「ん!今日は良いかも..」と自転車を引っ張り出す。

空気が冷たく澄んで空には雲も少し浮かぶ三時ごろ、自転車を飛ばして
江の島に向かう。

良い夕日に会うため。

左から伊豆の山、富士山、箱根、丹沢の山々が墨絵のように溶け合って
美しいシルエットを描く。
この季節は富士山の左側、伊豆の山に夕日は落ちる。

刻々と変わる美しい情景は人びとを無口にさせる。
まさに天然ショーのクライマックス。
山に夕日が懸ってからの店の客は、飲食も忘れ夕日に集中する。

以前、夕日の消える瞬間、あまりの美しさにおもわず拍手をしたら、周りのカップルや
家族ずれの人達もつられて拍手をしてくれた。
おかげで、帰りに店の人に感謝されて手ぬぐいを頂いたこともある。

薄い雲があると夕日が落ちてからも夕日が雲を染めてくれ、空のグラデーションに
色の変化がついて、さらに美しい。

漁船が通るたびに波しぶきの波紋も美しい。
一番高い位置にある「魚見亭」に行く理由も、海の縦の広さのせいで水面の
変化がいっそう美しく見えるからだ。

海も暗くなり、烏帽子岩も海に溶けて見えなくなる。

熱燗一本と焼はまぐりで粘っていたが、体も冷え切ってきたようなので帰るとしよう。