蓼科高原の旅


9月に入っても暑い日が続く。
サトーハチローさんの眼になって探しても、小さい秋が見つからない。
幼馴染の友達夫婦と、蓼科高原に秋を見つけに行こうということになる。

秋と云えばサンマ、サンマと云えば炭火焼、炭火と云えば七輪。
炭がピッチャーなら七輪やコンロはキャッチャー。
幼友達はその土器を上質な珪藻土を使い、古くから作り続けて日本の炭文化を支えている。
云わば自動車業界で云えばトヨタか日産の社長なのだ。
しかし、自慢したり威張ったりした事がない。
自然が好きで、短歌をたしなんだり、このところ人形浄瑠璃にはまったりの教養人なのだ。

蓼科高原はやはり一足早く秋の気配、ススキがそよぎ赤とんぼが飛び交う。

少年少女時代を共に過ごした仲なので、話が尽きることがない。
自然散策中も食事中も女どもはお喋りに夢中、僕たちも加わり時の流れを感慨ぶかく味わう。

帰りは僕達を茅野駅で下し、彼らは三河へ帰る。

何日かしてPCで作った旅行記が送られてきた。

添えられた短歌の
   秋深し 秋見つけたる4人旅 思いを残し 下る山道
   差し掛かる 高原の路に息を呑む ススキの白穂 全山に映える

僕も真似して
   妻たちのおしゃべり 小鳥の声みたい ススキの原の風にまぎれて

 「次回の旅行地は『三重の鳥羽』ですよ」ワクワク!