カルガモ日誌



「岡本さんちの裏の川にカルガモが誕生したそうだよ」と友達が知らせてくれました。
この神戸川(ごうどがわ)は、江の島そばの河口から全長約2㎞の小さな川だけれど、川べり
の植物が四季を知らせてくれたり、ハゼ、カニ、コイ、ウナギ、アユの遡上も見られます。
鳥ではカワセミが水面をすべり、アオサギが舞い降り、カルガモがたむろしていたりで身近な
恰好の散歩コースです。




       6月10日


早朝の散歩で、生まれて三日目の母ガモと10羽のコガモを発見。
本当にかわいくて、見飽きることがない。
同好の追っかけらしい人達に、得意げに「ここにいま~す!」
散歩中のおばさんは“群れ”で、おじさんは“一人”が多いですね。
コガモは天敵に遭ったり、特に弱いのは親が見捨てるそうです。
当分、川から目が離せないし、心配事を抱えてしまいました。




       6月13日


昨日大雨が降ったので、心配で河口まで探したんだけど、見つかりませんでした。
小さな川なので、大雨が降れば川は激流化して、海まで一気に流れます。
別口の大人のカルガモには7~8羽出会ったのに・・・。
この時期、お見合いの場所にもなっているらしく「別のカップルの赤ちゃんが誕生するかも」
と散歩中の常連さんがのんきなことを言っていました。
ともあれ、10羽のコガモの無事を願うばかりです。




       6月14日


速報!
今朝、7時10分、心配していたカルガモの親子を発見。
何と、一羽も欠けることなく、河口から300メートル付近を川上に向かって泳いでいます。
流されながら河口付近の浅瀬にたどり着いたのでしょうか。
この難儀に父親は何をしているのでしょう・・・、ったく!
梅雨の晴れ間、富士山も顔を見せ、いい日になりそうです。




       6月17日


川下の草むらで休んでいるところを見つける。
コガモが大きくなったことが分かる。
親からかなり離れて、活発なやんちゃ坊主もいるし、親から離れない甘えん坊もいる。
川上に泳ぎだしたので追っかける。コガモが9匹か?
岸辺のアジサイやキバナコスモスが満開。
僕の家を通り越して200メートルでUターン。「天敵に気を付けろよ」
僕も朝食タイムにUターン。




       6月21日


今朝はドラマチックな場面に遭遇した。
いつものように隊列を作って川上に向かって泳いでいた母とコガモ集団に
父親ガモが近づいてきた。
父ガモ 「仲間に入れてくれよ」
母ガモ 「いつもぶらぶら遊んでるくせに何よ」
父ガモ 「今日は父の日だぜ」
母ガモ 「父らしいことしたことあるの?」
父ガモ 「たまには良いじゃないか」
母がも 「何よ、いつも遊びまわってるくせに」
父ガモ 「社交だよ」

  ここで羽をバタバタさせて、噛み付き合いの大げんか。

母ガモ 「何が社交よ!近寄らないでよ・・・ったく、役立たず!」
父ガモ 「・・・、強くなったなあ、母ちゃん・・・」

  父ガモ退散。

  母ガモは、もう一度羽をバタバタ広げカチドキのポーズ。

本当にその剣幕にドキドキ。母は強し!




       6月23日


クリエイトより川下200メートル付近で発見。
このところ何度数えてもコガモが8羽しかいない。
自然の掟でしょうか。

カワセミ(小鳥の宝石)が川面を飛んで行く。
アジサイも梅雨空を晴れやかにしてくれる。
コガモが大きくなったせいか行動半径が伸び、ガストの先の
ガソリンスタンド裏あたりまで行くので探すのが大変。

相変わらず雄どもが行く手をふさいぐようにたむろしている。
警戒しながらも知らん顔して通り過ぎる。

人間の雄(僕のこと)は朝食も食べず、2時間も追っかけ!
あ~何やってんだろう、まじめに仕事しろよ!
少し自己嫌悪気味のこの頃だ。




       6月30日


今日も会えませんでした。
母親の後ろにくっ付いて小川を行ったり来たりしながら、体力を
つけ、知恵を学んでいることでしょう。
それに比べて大人のカモ達は相変わらず人間のえさを当てにして
ホットスポットにたむろしています。可愛くない!
川辺のアガパンサスも見頃をむかえ、近くのお寺の蓮の花が満開。
きれいな花ですね。




       7月10日


カルガモが生まれてひと月が経った。
このところの雨で会いに行けない日が続き、心配してたので今日は絶対に・・・。
支流の狭い陸地の草の中で身を寄せ合っているところを発見。
ひょろっと頼りなげなコガモたち。
「母ちゃん疲れたよう」「お腹空いたよう」
「お前たち九州の球磨川のカモの事少しは考えてみな」
コガモたちも潜ってエサを探すことを覚えたようだ。
お尻を水面に出して潜る可愛い仕草。
やつれて見えたけどコガモは8匹そろって生きていた。
母ガモの落ち着き、慈愛に満ちたしぐさ、目配り、つくづく偉いなあと思った。




       7月30日


カルガモが生まれて今日で51日目。
コガモは見分けがつきにくいくらい大きくなった。
でも、まだ痩せていて母親のそばを離れない。
少し飛べるようになって自慢しているやつや、隅っこでおどおどしているやつ、
羽をバタバタさせてはしゃいでるひょうきん者や・・・
8羽がそれぞれ一人で生きていく準備をしているようだ。




       8月4日


コガモたちは、みんな飛ぶ練習をしている。
もう小魚や小エビや川藻を潜って捕れるようになったようだ。
飛べるようになったら、この小川から別の世界へ羽ばたいていってほしいな。
人間の与えるえさを当てにしてこの川にいて欲しくない。
渡り鳥じゃないとはいえ、羽があるのだから行きたいとこに行ける。
皇居のお堀端とか、そうだコロナ禍の少ない岩手県なんかに・・・。
勇気出して飛んで行ってごらん。
良い子にめぐり合えるカモ!



       おまけの写真


カルガモ追っかけ中は、他の生き物にも楽しませてもらいました。
何故か、みんな仲良し。
カワセミには何度も遭遇したけど、写真には撮れませんでした。


コイとウナギ


コイとカルガモ


コイとカルガモとシラサギ


アオサギ