他人がモテたという話は聞きたくないですね。
面白くないし、いい加減にしろですね。
でもモテた人は話したくてしょうがない。
あの、実は僕がモテたんです、奄美で!
あ、そっぽ向かないで!
9月、台風が沖縄に接近中の奄美大島参加者20数名のツアー。
心配しながらも飛行機は飛んだ。
奄美は曇り空でバスが出発するとスコールのような土砂降りの雨。
でも目的地に着くと嘘のように晴れ渡りすばらしい景色を見せるという不思議な旅だった。
まずは「あやまる岬」
サンゴ礁の碧い海、積乱雲の夏空がまぶしい。
皆夢中で写真を撮る。
次にバスは黒糖焼酎の工場見学。
地元奄美の黒糖だけを使った本格焼酎とのこと。
これが良かった。
10種類以上の個性ある黒糖焼酎の試飲が飲み放題!
値段のはる原酒等も・・・である。
いつかのワイナリーなどと違い太っ腹である。
飲み比べているうちに酔ってしまう人もいた。
まだ初日なのにみんな悪いと思うのか、お土産なども買ってしまった。
これで仲良くなったほろ酔いの一行を乗せたバスは宿に向かう。
夕食は出ないツアーなので、隣の女性に夕食はどうするのかと聞くと予約してある店に行くとのこと。
思い切って僕も行っていいかと聞くと「ぜひご一緒しましょう」
そのお店は地の魚料理の店でカニをはじめ、名前も知らない魚の刺身、貝のぬたなどどれも新鮮で美味しい。
店主がカニの食べ方、刺身で出た魚の写真など丁寧な説明もうれしい。
僕たちはお互いの自己紹介をして、仕事の事、家族の事、趣味や旅行など話が尽きない。
僕の娘ほど若いということも判明。
翌日の夜も行きたい店を決めているとのこと。
有難い、連れて行ってくれるそうだ。
お父さん(?)は嬉しい!
次の日の目玉は「マングローブでカヌー」
初めての体験だったけど楽しかった。
カヌーに身を沈め水面すれすれに進む。
水鳥か魚になったような快感。
皆目配せしながら子供に帰ったような笑顔でパドルを漕ぐ。
世界自然遺産の山々が見渡せる赤土山展望台からの眺めも素晴らしい。
大自然に守られて黒兎やルリカケスや・・・ハブなどが生息しているんだろうなあ。
アラカチの滝を見物した後国直海岸を散歩。
皆んなサンゴのかけらを記念にと形の良いものを探して拾い歩く。
その日も宿に戻り夕食タイム。
添乗員さんが僕たちを見つけ羨ましそうに「昨夜は美味しかったですか」に「美味しかったですよ」と返し、「行ってらっしゃい」の声にニコニコ連れだって出かける。
今夜は郷土料理の店でメニューはただ一種類。
お任せ料理6点にお酒三杯が付くというもの。
リーズナブルだ。だからお店は満席。
店主は九十歳は超えているというおばあちゃんと二人のお手伝いさんもかなりお歳のおばあちゃんがイキイキと切り盛りしている。
郷土料理がなぜか懐かしい味でどれも美味しい。
あのメーカーの黒糖焼酎も旨い。
店の壁に店主の70年以上前の水着の写真が貼ってある。
薬師丸ひろ子似の美人だ。
店主が話しかけてきて昔話を聞かせてくれる。
記念に写真撮りましょうと三人の笑顔をパチリ、良い時間が過ぎていった。
帰る時、追加で飲んだ焼酎は手を横に振りサービスしてくれた。
奄美の人は良い人ばかりだ。
最後の三日目は大島紬村が良かった。
大島紬が出来るまでを誠実に説明してくれる。
気の遠くなるような工程と熟練の技はこれからも残っていくだろうか。
奄美の成人式に大島紬を着てくれる人には行政が半額負担してくれるそうだ。
故郷の誇りを二十歳に着るって、なんて素敵で幸せなことだろうと思った。
大島パーク内の「田中一村記念美術館」も良かった。
奄美の自然、植物に触れた後なので、一村のこの島に魅了されて書き上げた不思議な日本画は心に残った。
帰りの飛行機は窓際に座れた。
島が遠ざかり海も見えなくなり雲の上に出る。
いい旅だったなあとしみじみ思う。
一番は二晩も若い女性と食事できたこと。
二番は海の碧、空の青、白いサンゴ礁の風景。
三番は若いバスガイドさんの「島唄」が素敵だったこと。かな・・・。