煤竹を長い間大切に保管していて「これで何かを作って欲しい」 と云って来られるお客様がいる。
まずHさん。
お父さんの茅葺の実家を壊した時に持ち帰り、20年位お母さんが 大切に保管していた煤竹。 Hさんはラオスで疫病対策のボランティア看護士をしていた時に 同じくボランティアで来ていたオランダ人の男性と知り合い結婚し、 今はオランダに住んでいる。 昨年、里帰りされたときにその煤竹を持ってこられ依頼される。 今年、夏休みに里帰りされ約束の日にやさしそうな御主人可愛い 二人のお嬢さん四人で店に来られた。 作品はとても気に入っていただき、追加注文まで頂く。 バカンスに四国の茅葺の民宿に一家で泊まって来たそうだ。 茅葺屋根の下で御自分のルーツや日本の少し前の暮らしを御主人や お嬢さんに話されたことだろう。
持ってこられた5本の煤竹に感動。 長さは4〜50センチ位の縄めのあとも美しいナタ切り(昔、竹やぶ から無造作にナタで切った痕)の煤竹。長い竹の根元の部分だけを保管 しておられたのだ。 保管していた人の意図が感じられ、操られるように作業が進む。 割れ目にくさび、落としに銅壺を張って5本の花入れが完成。 花入れとしてよみがえった煤竹は季節の花が飾られ品格のある空間を 演出してくれることだろう。