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今年の竹煮・伊豆の竹

2019.12.02

竹細工3グループ(竹友会、珍竹林、あむあむ)の主要行事がこのほど無事終了しました。
「竹取り物語」は11月4日、「竹煮」は11月30日。
今年は例年にない悪天候が続いていましたが、「竹取り物語」「竹煮」のいずれも前日までの雨雲を吹き払うような好天に恵まれました。
不思議なことに、花見、竹林整備の時も、当日になると晴れてしまう!
善男善女の皆さんと雨乞いの日蓮上人をも越える晴れ男岡本先生のお蔭?!

久しぶりに良質の竹を手にすることができそうです。
きっと皆さんの来年の作品はさらに素晴らしいものになるでしょう。

11月4日、11月30日の絵をアップロードしました。
画像をクリックしてご覧ください。

竹煮


竹取り物語





輪口編みの底

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輪口編み
4年前、初めて竹細工の教室に入った時、円形の放射状に広がる竹編みを目にした。
後に、一風変わったその編組は輪口編み(輪弧編み)と言うことを知った。

2枚の輪口編みを重ねて編み込む二重輪口編みは、いかにも竹細工という趣があり綺麗だが、編み上げに大変苦労するらしい。
そのため、編むことをずっと敬遠してきた。
が、このほどようやく二重輪口編みに取りかかることにした。

試しに輪口の平編み(単輪口)を作ってみた。
単輪口

次に、網代編みのおさらいに3本とび網代を編み、二重輪口の底板(ます網代)を試作した。
網代編み

いよいよ二重輪口編みに取りかかろうとしたが、いつもの浮気クセもとい寄り道クセで、麻の葉編みと亀甲編み(鉄線編み)の底板も作りたくなった。

いざ始めてみると、麻の葉編み、亀甲編みとも結構難しい。
六つ目編みや網代編みのように単純に押さえ、すくいを繰り返すだけでは編むことができない。
編んではほぐし、編み目を探すパズル解きにすっかり夢中になってしまった。
ようやく出来上がった麻の葉編みと亀甲編みを眺めてみる。
二重輪口の底板は、やはり、麻の葉や亀甲よりも網代編みの方がぴったり来る感じだ。
麻の葉・亀甲

調べてみると、面白そうな網代編みが沢山ある。
網代いろいろ

これと思う網代を編んでみたが、白ひごだけで編んでいるので、図のような模様が出てこない。
ひごを染めなければならない!
寄り道どころか、二重輪口編みから脱線・暴走することにした。

竹の表皮は色が染まりにくく、まだらになる。
染色するためには“ほうろう質”の表皮を薄く剥ぎ、“磨き竹”を作らなければならない。
しかし、皮剥ぎ専用の道具“磨き銑”は1丁¥9000也。
道具の手作りが趣味とは言え、“磨き銑”作りは難儀だ。
“磨き銑”の代用として“南京鉋”を使ってみたところ、まどろっこしいながらも磨き竹を作ることができた。
南京鉋

色ひご 次に、布・竹用の染料と角バット(染め鍋)を購入。
色むらができないようにかき混ぜながら、ひごを染色液に20分間浸漬。
水洗いの後、陰干しして色ひごが出来上がった。


早速、色ひごを使って平編みをする。
花網代
連続ます網代
交色亀甲

二重輪口の底板のことはほとんど忘れている。

大きな染色鍋を作ろうと思い、早速、90×45cmのステンレスの板を買って来た。
鍋が完成すれば、長尺のひごも染色できる。
また染料も、今回使用のダークブロン含め28色用意されている。
板金仕事、ひご作り、染色、交色編み、楽しみがどんどん増える。
悪戦苦闘必至の難しい二重輪口編みは、しばらくの間お休みだ。



参考資料
手元で見ながら編むために作成した自分用のガイドを掲載しました
人それぞれで着眼点が違うので余り参考にならないかもしれませんが、画像を保存(ダウンロード)して印刷すれば利用できます
(ます網代、花ます網代、連続ます網代、麻の葉は佐藤庄五郎著「図説竹工入門」の図をベースにしました)

【ます網代編み】
オカモト先生にます網代の編み方をお聞きしたところ「図の通り531を繰り返すだけ」と素っ気ないご返事。
実際に編んでみたら、5本3本1本の順で押さえとすくいを繰り返すだけで出来上がった。
実に簡単明瞭で素晴らしいご指導ありがとうございました。


【花ます網代編み】
5、3、1の基調で展開する点ではます網代編みと同じ。
図中心部に記した数値を基に、図左側に記した数値リズムでチェックしながら押さえとすくいを繰り返すと楽に編むことができる。


【連続ます網代編み】
5、3、1のリズムがやや複雑になるが花ます網代編みと同じ。
図上下の黒ひご挿し、白ひご挿しの図は90度向きを変えた時の挿しパターン。


【麻の葉編み】
一周6本のひごを図中オレンジ色の説明通り編み込む。
その際、①~⑥順にひごを入れる毎、ガイドとひごを反時計回りに60度回転させると見やすく編みやすい。

三周目以降、①~⑥順でひごを入れては交点(赤★)を組み直す。
ガイドとひごを反時計回りに60度回転させるのは二周目と同じ。

最初に中心の六つ目に3本のひご(青)を挟まないで編み始めると右図のような出来上がりになります。



【亀甲編み(鉄線編み)】
ポイント:
①“N”を探し出す
②“N”を見つけたら3本のひごを正しい形に組み替える
③“V”と“N”をすくう
補足:
“N”を見つけるための基点のパターンは右図の通り。
基点から右上に伸びるひご(橙色)と交差するひご(赤色)、橙色のひごと平行に右上に伸びるひご(黄色)の3本で“N”が構成される。
この3本のひごが他のすべてひごの上にあることを確認し、さらにまた赤色のひごは他のひごすべての上になるように組み替える。
“V”が現れる時があるが、位置は必ず左端。

素っ気なく訳の分からない説明だが、編み方を説明するのは実際に編むよりはるかに困難だ。これが亀甲編みが竹編みのなかで最も難しいと言われる理由かも。
その人なりに編み方のポイントと要領さえ理解すれば、亀甲編みができます(できました)。
しかし、“N”の確認・組み替えに時間が掛かります。一周6本の作業を3周(ひご18本)ほどこなしたら今日はもうこのへんでいいか、という気持ちになります。
どなたか効率の良い編み方を知っていたら教えてください(知ってはいても教えることが難しい・・・?)。





挿し六つ目編み

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竹編みで何か作ろうとすると、ふだん使えるものを選ぶ傾向がある。
そのため、近頃は作り易く、六角模様のきれいな“かごめ”に取り組んでしまう。
しかし、浅いかごの場合は気にならないが、背丈の高いかごを仕立てると、実用性はともかく、いまひとつ飾り気が少なく寂しい気がする。
そんな時、『“かごめ”を基にして挿し編みをすると面白いよ』とオカモト先生に教わった(竹細工の店おかもと|この花この一品)
さっそく、見よう見まねで、挿し六つ目編みのかごを作ってみた。
“かごめ”に挿し竹(挿しひご)を1本、2本、・・・と挿していく。
挿し竹の本数が少ないうちは判然としないが、数が多くなっていくと意外な模様が現れてくるのが面白い。

これは面白いと思うや、挿し六つ目編みそのものから(いつものくせで)脱線し、挿し編み模様作りの方にはまり込んでしまった。

まず、パソコンのグラフィックソフトを立ち上げる。
一番下のレイヤー(透明なフィルムに相当)に、基となる“かごめ”を書き込む。
その上のレイヤーに横方向の挿し竹、次のレイヤーに縦方向の挿し竹、斜め、・・・といった挿し竹のパターンを書き込む。

挿し竹パターンのレイヤーが7、8枚できたところで、最下層のレイヤーに挿し竹のレイヤーを重ね合わせ、パソコン画面でチェックする。
さらに、挿し竹を1本おきに間引きしたパターンのレイヤーを作る、あるいは挿し竹の位置をずらしたレイヤーを書き加える。

レイヤーをいろいろ重ね合わせては、できあがりを画面上で楽しむ。


三種類の挿し六つ目編みの手提げかご(大、中、小)を作ってみた(冒頭写真)。



10cmほどの余りひごを集めて、出来上がりが麻の葉編み模様のランプシェードも作ってみました。




六つ目編み(かごめ)

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「竹割三年 編み八年」という言葉がある。
竹割(ヒゴ作り)に3年、編みに8年の修業をつんで、ようやく一人前の竹職人になると言うことらしい。

おタケの場合、10年もたったら目が衰え、指先が震え、おまけにヒゴの数を間違えて竹細工どころでなくなってしまう。
晴耕雨読ならぬ“晴遊雨竹”のなかで、竹割に当てる時間をヒゴ作りの道具作りにしてしまうから、まるで修業にならない。
幸い趣味の竹細工だから、それで良しとしよう。

3年の間、編む毎に、ヒゴの大切さをイヤというほど思い知った。
ヒゴ厚と幅の精度のいい加減さは、そのままかごのあちこちに現れる。
編み目のサイズはヒゴ幅と厚さで調整するのが本来だが、ゆるゆるに編んで大きめに作ろうとすると十中八九失敗する。

こうしたことを学習しながら、基本となる四つ目編み、六つ目編み、ござ目編み、網代編みなどをやってみた。
当然のごとく、不出来なかごや平編みのまま放置された編物が増えてくる。

そのため、引き取ってもらえる可能性があるかごを作ることになる。
幼い頃から実用的な六つ目かごを見て慣れ親しんでせいもあるが、連続した六角形の編み目が好みだ。
六つ目編みは、ヒゴの数が少ないにもかかわらず強固で軽量、作っていても楽しい。

縄文時代の遺跡から六つ目編みが見つかっているそうだ。
四つ目編み、網代編みにくらべ、簡単そうだが案外難儀する編み方だ。
そう思うと、六つ目編みを使用していた縄文人も大したものだと見直してしまう。

目が大きく丈夫で昔からかご編みに使われてきたため「かごめ」とも言っている。
竹細工教室のオカモト先生は“六つ目編み”とは言わず、よく「かごめ」と言う。

そうした竹細工の日、ふと気がついた。
幼少のころ、あるいは大人になってから小さかった娘や甥姪たちと一緒に唄って遊んだ “かごめかごめ”。
変だなと思いながら深く考えないで “(海にいるはずの)カゴメカゴメ かごの中の鳥は いついつ出やる・・・”。
“かごめかごめ かごの中の鳥は ・・・” という長年の謎が3年間の竹細工でようやく解けた♪
kagome

易しそうに見えて、初心者にとっては意外に難しい“かごめ(六つ目編み)”。
オカモト先生が動画で編み方を分かりやすく説明しています。




おんもに出たい

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新たな家族、ワンコもだいぶ家の様子に慣れてきた。
行動範囲もハウスの周辺から数メートル先まで出歩くようになった。
時々、窓辺に近づき、外の世界に興味を示す。
「おんもに出たい?」

ずっと以前、純白の雪が一面に広がるある晴れた日に「おんもに出たい」と遅い北国の春を待つ娘の姿を思い出す。
ワンコとムスメを一緒にして不謹慎ではあるが、どっちの姿もかわいい。

もうすぐ3度目のワクチン注射、それが済んだらおんもデビュー。
それまでは、ハウスの近くでやんちゃに遊び続けるおてんば娘。
とにかく動くモノ、音のするモノは何でもオモチャにしてしまう。
そんなある日、アレレ?・・・!




四海波花かご

207

207u1
竹細工の最初はヒゴ作り。
ヒゴ無しでは竹細工はできない。
なのに、ヒゴを作らず、ヒゴを作るための道具作りに多くの時間を費やしてしまった。
満足のいく道具(うらすき銑、幅きめ)をできあがったので、これからはヒゴ作りに専念できる。
出来上がったヒゴで、とりあえず、何か編んでみたくなった。
「四海波花かご」にしよう ♪
この花かごは、籐、縁竹、力竹など一切使わず、ヒゴのみで作ることができるのが特徴だ。
編み方も至って簡単で、要点(図5)を押さえてしまえば、容易に編むことができる。
おまけに、必要なヒゴの数はわずか16本。
そんな訳で、この花かごは、初心者や竹細工のお試し体験の題材になるらしい。
その割りには、結構、見栄えがすると(おタケは)思うのですが…。

207u2



 四海波花かごの編み方

16本のヒゴを四ツ目に編み込む。
四ツ目編みが出来た状態から説明。
【分かりやすくするため、ヒゴの片側半分を着色した。以下の説明では、便宜上、着色した方を「赤ヒゴ」、着色してない方を「白ヒゴ」と表記】

左下の白ヒゴ4本(白丸印)を上から a、b、c、d の順に重ねあわせクリップで仮留めする。
右下の赤ヒゴ4本(白丸印)も同様に上から a、b、c、d の順に重ねあわせクリップで仮留めする。

207a

図1左下の白ヒゴの束(白丸印)を赤ヒゴ(図2赤丸印)の下を通し、図1右下の赤ヒゴの束(白丸印)と図2のように結ぶ。
赤ヒゴの束と白ヒゴの束のそれぞれ4本のヒゴは、内側から外側へ a、b、c、d の順になる。
207b

図2上方左の赤ヒゴ4本(緑丸印)を a、b、c、d の順に重ねあわせクリップで仮留めする。
図2上方右の白ヒゴ4本(緑丸印)を a、b、c、d の順に重ねあわせ、赤ヒゴ(図3赤丸印)の下を通し、左からの赤ヒゴの束(緑丸印)と結ぶ。
207c

図3左上の白ヒゴ4本(黄四角印)、図3左下の赤ヒゴ4本(黄四角印)をそれぞれ a、b、c、d の順に重ねあわせて2、3と同様に結ぶ。
同じく、図3右上の赤ヒゴ(ピンク四角印)と白ヒゴ(ピンク四角印)を結ぶと図4の形になる。
207d

次の三点をチェックする
① 右からの束(赤ヒゴ)が、左からの束(白ヒゴ)の内側になっている(白丸印)。
② 赤白それぞれのヒゴ4本が、かごの内側から外側へ、図2 a、b、c、d の順に重なっている(白丸印)。
③ 図5(白四角印)の組み合わせ位置になっている。
四箇所とも図のようになっていたらOK。違っていたら ①、②、③になるように改める。
全体を霧吹きで湿らせ、四箇所の結び目を締めつけ、両手で丸めながら形を整える。
207e

かごをひっくり返す。
任意の一箇所のヒゴ(図7赤ヒゴの束)をそり返し、4本のヒゴ(図7白ヒゴ)の2本目と3本目の間を内側から外側へ通す(白四角印)。
207g

図7白ヒゴの2本目と3本目の間から出てきた赤ヒゴの束を、図8右上からふたつ目、左上からふたつ目の四角い目に差し込む(白丸印)。
207h

図8の違う位置から撮った図。
白ヒゴの2本目と3本目の間を通った赤ヒゴの位置(白四角印)。
縦ふたつ目、横ふたつ目の位置(白丸印)。
207i

10 残り三箇所の赤ヒゴの束をすべて図8、9と同じように差し込む。
かごの内側から見た図10。
207j

11 赤ヒゴの余分にはみ出た端部分(図10白四角印)をニッパーで切り落とす。四箇所とも。
207k

12 ふたたびかごをひっくり返す。
207m

13 白ヒゴ4本のうち一番内側のヒゴaを取り出し、赤ヒゴ4本と白ヒゴ4本の交差する間に差し込む(白丸印)。
207n

14 ヒゴbを、ヒゴaを差し込んだ隣の隙間に差し込む。
順次、ヒゴc、ヒゴdを、それぞれ隣の隙間に差し込む(白四角印)。
207p

15 残り三箇所の白ヒゴも、同様に、 a、b、c、d の順に隙間に差し込む。
余分にはみ出たヒゴの端部分はニッパーで切り落とす。
207q

16 霧吹きで適度に湿らせながら、全体の形を整えたら出来上がり。
207r



207s 竹ヒゴが無くとも、紙バンド(クラフトバンド)で作ることができます。
ぜひ、お試しください。






竹細工作品展

2019.04.28

206
206

4月22~26日、「鎌倉駅地下道ギャラリー」において、毎年恒例の竹細工サークルの作品展示会がおこなわれました。
展示の様子ならびに竹友会・珍竹林メンバーの力作を掲載しました。


206
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 竹友会

竹友会
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    椎野幸一

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    椎野幸一

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    近藤角三郎

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    村上洋子

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    五十嵐昭次

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    木村貴美子

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    岩瀬正

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    山口政美

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    山口政美

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    田中真生雄

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    井上建雄

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    井上直美

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    田中久美子



珍竹林

珍竹林
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岩土紀代子

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沖山千恵子

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沖山千恵子

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川邊重実

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川邊重実

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川邊重実

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後藤弘史

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後藤弘史

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細村安造

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細村安造

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森トシ子

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若菜正義

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若菜正義

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若菜正義





雪国の桜

2019.04.23

気の向くまま遠出できることが、無職の身の最大の特権。
宮仕えの現役時代は、近場の桜を愛でるのが精いっぱい。
そこで、現役引退後しばらくして、桜の追っかけ旅に出た。
開通間もない新東名を下り、高遠城址公園を皮切りに、小諸城址懐古園、高田公園、新発田城址公園、加治川堤、鶴岡公園、・・・。
さらに角館へむかう山形・秋田の県境あたりで、クルマでの移動が桜の開花前線を追い越してしまった。
が、毎日が休日なので、北へむかう勢いのまま走り続け、北海道へ渡った。
寒い北海道で数日過ごした後、再びフェリーで青森港に入り、満開の弘前城址の桜を堪能した。

それから数年経った今回、満開情報ぴったりの福島の桜に照準を合わせて出発。
なかでも、日本三大桜のひとつ、三春町の滝桜は圧巻。

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鶴岡公園の桜は「さくら名所100選」のひとつ。
庄内藩(海坂藩)の城址いっぱいにソメイヨシノが咲き乱れる。
しかし、私的には、黒川能で有名な黒川橋下流の赤川堤の桜並木がお気に入りだ。
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ここの桜並木はあまり知られておらず、花見に訪れる人も少なく、ゆったりと散策しながら周囲の景色とともに観賞できるのが良い。
この場に立ち止まり、昔ながらの景観を見渡すと海坂藩を舞台にした藤沢周平の小説に取り上げられた場面が自然と脳裏に浮かんでくる。
藤沢周平の生まれ育った高坂の郷は、この地から西に1里ほどのところにある。
海坂藩のなかで描かれる大きな川は赤川にあたり、映画化された映像で、月山や鳥海山とともに映し出されるのを見るのが懐かしくうれしい。
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鎌倉への帰りは、山あいを抜けて鼠ヶ関に出る国道345号を通った。
鬼坂峠を越えると、周囲の山は白い雪と春を待つ木々のまだら模様。
かろうじて舗装はされているものの、狭縊な幅員のため大型・中型車は通行不能であり、冬期間は雪のため閉鎖されてしまう国道なのだ。
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ずっと以前、愛媛の八幡浜から瀬戸内海へ抜ける国道378号の狭縊さに驚いたが、それに次ぐ経験。
雪の融けたところからフキノトウが顔を出し、日の当たる路肩の斜面にカタクリの花が延々と続く道筋をゆったりと通り抜けるのは実に気持ちが良い。
桜の季節でなくとも、機会をとらえて、またこの地を訪れたい。
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平成31年 花見

2019.03.27

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写真のうえに”矢印”を移動し、マウスを右クリックして「名前を付けて画像を保存」することで写真をダウンロードできます。

竹友会椎野会長から写真の提供がありましたので以下に添付しました。
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おタケの新しい家族

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農産物直売場にタケノコが並ぶ季節、場所は茨城県中央部。
高速道を降り、ナビを頼りに目的地を目指し、初めての道を走る。
無事、話がまとまると良いが・・・。

長年のペットロスがようやく癒えたある日、旭川郊外の、いつも通りすがりに見ている看板に惹かれ、兼業農家風の家に立ち寄った。
生まれて間もない仔犬を見ながら、愛犬談義をしているうち、「ウチは高齢の方には仔犬をお売りしません」ということだった。
最初の子(ヨークシャーテリア)、2番目の子(トイプードル)ともに14歳で別れたので、なるほどと合点がいった。

ひと犬種だけで100頭近く飼育している目的地のブリーダーでも、やはり年齢制限があった。
が、もしもの場合は近くに住む娘が引き取る了解を得ていることと65歳の線引きで話がまとまった。
何組かの兄弟姉妹のうち、生後2ヶ月の三姉妹のなかから一匹を選んだ。
(上写真左の子)

すぐに連れて帰れると思ったら、2度目のワクチン接種と社会化のために、引き渡しはひと月後(生後12週齢)とのこと。
宿題をやっていない夏休みの終わりの日はあっという間にやってくるが、楽しいことを待つ時の時間はやたらに遅く感じる。
長いながいひと月後に、ようやく我が家へワンコを連れてくることができた。
近くの孫、娘夫婦が毎日のようにやってくる。
もちろんワンコが目的で、ジジ、ババに会いにくるわけではない。
そんなことはどうでも良いくらい(孫ではなくワンコが)かわいくてしようがない。






竹の家族

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毎年、春になると竹細工教室の楽しいイベントのひとつ、花見が3サークル合同で催される。
主役は桜だが、竹が助演する。
当日の朝切り出した竹で、料理を盛り付ける皿、箸、ぐい飲み、カッポ酒の筒などを即製する。
竹の切端はそのまま料理やお酒を温める燃料になる。
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竹の教室だけあって、圧巻は採ったばかりのタケノコ料理。
なにせ花見の会場は竹林のすぐそば、竹林のオーナーKさんの庭。
蒸し、煮、ホイル焼き、混ぜご飯などどんなレシピであろうと、掘り出し直後のタケノコ料理に優るものはないと思う。
ずっと以前、丸かじりシリーズ(東海林さだお)かパイプのけむりシリーズ(團伊玖磨)で、究極のタケノコの食べ方を読んだことがある。
地中にあるタケノコの周りの土を掘り出し、出来たくぼみの底で焚き火をしてじっくり生えたまま焼き上げる大地焼き(別名地獄焼き)。
日光見ずして結構と言うなかれ、ナポリを見ずして死ぬことなかれ、大地焼き喰わずして・・・ とまで言われてるらしい。

竹細工教室入会初年度の生徒は、実技だけでなく座学(講義)を受ける。
竹の種類、生育分布、年齢の見分け方等々、なかでも、タケノコは1日に1メートルも伸び、わずか数ヶ月で立派な竹に成長する珍奇な植物。
成長の要因は数的増大と量的増大の・・・と言う植物学教科書の話ではなく、竹は地下茎(根)で互いにつながりあってひとつの竹林を作っていて、竹の赤ちゃん(タケノコ)が生えると、 竹林(家族)の一本いっぽんのお父さん、お母さん、おじさん、おばさん、おじいさん、おばあさんなど家族全員がいっせいに赤ちゃんへ栄養を送り支え続けるので、他の植物に例のない驚異的成長ができる。
というオカモト先生らしい教えでした。
そうした講義が頭に残り、お母さんやおじさんたちが見守る下で地獄焼きをしてタケノコを食べてみたいという気持ちは雲散霧消してしまった。
料理上手のお嬢さん(?昔)たちが採りたてのタケノコ、山菜、搗きたての餅などを調理してくれ、カッポ酒とともに胃袋を満たしてくれる。
地獄焼きがなくとも、充分幸せな花より団子の至福の時がまもなくやってくる。
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イヌ にげる サル

2019.02.23

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先日の鎌倉アルプスハイキングは、好天にめぐまれた。
その翌々日も、暖かな陽に誘われ、松田・西平畑公園の河津桜を観に行ってきた。
昨年、竹細工3サークルの熱川温泉旅行で河津桜を観賞したのも今頃。
教室のボードには、竹細工3サークル花見の予定日が記されていた。
寒い、寒いと思っているうちに、もう桜の季節が・・・。
イヌ にげる サル。
最初、「犬 逃げる 猿? なんか変、でも早そう・・?」と思ったが、
一月(いちげつ)往(い)ぬる、二月(にげつ)逃(に)げる、三月(さんげつ)去(さ)る。
行事が多く、あっという間に過ぎてしまう、忙しいこの時期だが、自習、休講があったせいか、今日の竹友会は、ほぼ全員出席。
全員そろう機会はそうそう無いので、塩澤さんが、パチリッと集合写真を撮ってくれた。

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鎌倉アルプス・ハイキング

2019.02.18

一月の竹細工レッスンの後には、毎年、新年会がある。
ところが、例年新年会の会場にしている店が、閉鎖してしまった。
教養センターの近くに、皆で囲めるようなスペースをもつ店がない。
そこで、新年会に替えて、鎌倉アルプス(天園コース)ハイキング行になった。
2月18日朝、鎌倉駅前に集合。
4月並みの気温で風もない穏やかな天気に恵まれ、出発。
鎌倉アルプス山頂(大平山)下で昼食。
椎野会長が運んでくれた温かい味噌汁が、とても美味しい。
無事帰着。
2万歩の快い疲れが、ビールをより美味しくしてくれた。

(椎野さん、塩澤さんより提供いただいた写真を動画編集しました ↑)

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作ってみましたⅢ

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竹編みのために竹ヒゴを作ることがあっても、竹ヒゴを作るための道具作りの方に夢中なるヒトはたぶんいない。
何度も作り直した結果わかった銑と幅きめの調整ポイントを書きとめた。
「作ってみましたⅢ」は、マジメでギジュツ的な記事なので、読み飛ばした方がよいかもしれない。
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しばらくの間、竹編みを忘れて、銑と幅きめ作りに夢中になった。
ヒゴ作りは、試作した道具の出来を試すだけ。
本末転倒、主客転倒、冠履倒易(カンリトウエキ)。
そんな訳で、ヒゴ無しで竹細工教室に出席しても手持ちぶさた。
冷静になって(ならざるを得ない)Tさんの空気力学竹トンボと竹炭研究の話を拝聴しながら周りを観察すると、 オカモト先生の面白い話を聞いたり、“この指とまれ”の課外学習(遊び)の話をしたり、楽しくレッスン時間を過ごして、 竹に触れることもなく帰るヒトがいることが分かり、何となく安心した。

道具が出来上がったので、マジメにヒゴ作りに取り組むことにした。
ヒゴ作りの手順は、竹割り、剥ぎ、幅とり、面とり、うらすき。
竹細工では、通常、竹皮の約0.4mm厚部分だけを使う。
竹割りから順に丁寧に作業しないと、貴重な竹がムダになってしまう。
竹割り、剥ぎ、幅とりをナタでしっかりやれば、後の処理が楽になり、結果として少ない時間でヒゴを作ることができる。
ヒゴ作りの道具、銑、幅きめは最終仕上げの補助、「基本はナタ」と先生が教えてくれました。




作ってみましたⅡ

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106a
竹割りをすると、気持ちよくパリッパリッと竹の裂ける音が耳に入る。
無心に手を動かすだけの時間が心地良い。
ヒゴを明るい光にかざすと、濃い色合いの影ができるので、その部分が厚いと判る。
均一な厚さのヒゴは、両端を持って丸めると、真円に近い弧を描く。
これが、なかなかできない。
ヒゴの出来、不出来は分かるが、肝心のヒゴ作りは難しい。
一流プロ職人の先生は、ナタ一本でヒゴを作りあげる。
目の前で、厚さ0.3mmのヒゴを、難なく作ってみせてくれた。
ヒゴ作りの道具がないものかと調べてみた。
あった。が、とても高価だ。
調べてみたら、ネット上に、自作風のものがあるわ、あるわ。
小・中学校を通して、図画工作、職業家庭だけは、つねに5だった。
が、他の教科は、悲惨というか無関心。
足し算、引き算ができなくとも、現金を手にすれば、買い物の勘定を間違えることはなかったし、掛け算ができなくとも、答案用紙の裏にささっと絵を書けば、鶴亀算は正解(式を書いていないから減点!だって?)。
算数は、よく宿題が出た。
学校が終わるや、すぐ遊びに出掛けるので、宿題などするはずがない。
当然のごとく、いつも放課後の居残り組。
いっしょに残された仲間と遊ぶ時間惜しさで、必死になって、前日の宿題をこなす。
で、その日の宿題は、また翌日の放課後。
そのうち、先生が、今で言うサービス残業にあたる時間のムダと気づいたのか、宿題を出すのを止めてくれた。
昔話はさて置いて、自分でヒゴ作りの道具「幅きめ」と「うらすき銑」を作ることにした。
なにしろ、図画工作は5だったのだ。

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学んだこと:
失敗を積むほど成長する(もう成長の伸びしろは残っていないが・・・)




作ってみましたⅠ

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ヒゴ作りが済んだので、初めての竹編みに取り組む。
基本中の基本(初心者向き?)の四つ目編み。
縦横交互に編んだヒゴを縁竹ではさみ、籐を巻いて、盛り皿が完成。
早速、盛り皿に天ぷらを添えてもらい、お酒を一献。
先生に見てもらったところ、いろいろな課題があった。
例えば、ヒゴの厚さがマバラなため、薄い(=弱い)ところが湾曲し、その部分が波打っている(改めて写真を精査しないでくださぁ~い ^^;)
編み目の間隔を狭めたくとも、ヒゴの厚さが災いし、目を詰めることができない。
要するに、きちんと出来ていないヒゴ(材料)からは、良い作品(製品)は生まれないということ。
上流工程でしっかりしていないから、下流でトラブルが発生し、コストが嵩むのだ。だから・・・!
などと、昔、偉そうに叱咤激励したことがあったかなぁ~?

年の瀬、この年最後のレッスン。
門松作り(と言っても数十cmほどの可愛いものだが)を習う。
子供のころの感覚では、正月に、竹3本仕立ての門松を飾るのは、銀行や裕福な家だけと思っていた。
竹細工の教室に入って1ヶ月、竹の盛り皿を作り、竹3本仕立ての門松を飾って、裕福な気持ちで新年を迎えた。

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ちょっとひと息 “笑点”

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新聞、テレビを見ていると、不愉快、不幸、情けない報道の多いこの頃。
比較的さわやかなスポーツですら、パワハラなどが報じられている。
吉祥寺に住んでいたころ、娘の好み?だった「8時だョ!全員集合」に応募しては、観に出掛けた。
観客拍手の予行演習が終わると、いよいよオープニングのカウントダウン。
緊迫で胃の痛むような、いかりや長助の表情が、TVカメラの赤いランプが点ると、一瞬にして変わる。
また、コマーシャルタイムの幕間に、スタッフ相手に威張る歌手を見受けたりする。
そうした点、我々の年代に人気の長寿番組「笑点」は、録画の放映なので、安心して、笑って見ることができる。
たまたま録画したなかで面白いのがあったので、学生時代のクラスメートに見てもらおうと思って編集した。
せっかくなので、おタケのタケ細工にも取り入れた(後半の“18歳と81歳の違い”は傑作)。





まずはヒゴ作りⅡ

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通常、所要の長さに竹を輪切りすることからヒゴ作りが始まる。
次に、けがきコンパス(あるいは鉛筆)で、割り幅(4mm幅のヒゴが欲しい場合は5mmほどの刻み)の目印を、輪切りの丸い切り口部分に記しておく。
目印にナタの刃をあて、半分に、半分にしたものをまた半分に、繰り返し割っていく。
一本の竹が、2,4,8,16,32,・・・ 麻雀の数えのようだが、声を出す必要はない。
幅2~3cmほどになったら、割り幅が均一になるように、より慎重に裂いていかなけばならない。
その際、「ナタを押しつけると幅が狭くなる」と教わったが、よくわからない。
しかし、実際にやってみると理解できる。

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自分では、初めに刃物で割れ目を入れたあと、ナタを使わないで、竹の両側を左右の手で引き裂いでいった方が、均一な幅に調整しやすい。
竹の繊維は非常に細く、丈夫だ。
おまけに晒した竹の色は薄茶色。
一度、指に刺したことがある。
普段は痛くないのだが、なにかのはずみでその部分が当たるとチクリと痛みが走る。
細かく丈夫で肌色のため、どこに竹の繊維が刺さっているのか、分からない。
皮膚の新陳代謝とともに抜け落ちるのを、我慢して、待つことにした。
痛い目に遭うと、しっかりそのことを記憶する。
その点は、ワンコもヒトもまったく同じだ。
ん十年の人生のなかで、何度も、何度も痛い目に遭ってきた。
従って、相当の学習をし、沢山の知識がついたはずだが、懲りずに、また同じ痛い思いを繰り返してしまう。
そこが、うちのワンコと飼い主との違いだ。
しかし、ヒゴ作りの際は、必ず手袋を着用している。

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まずはヒゴ作りⅠ

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竹細工教室で教えてくれるのは、編み目の綺麗なかご、幾何学模様が映える盛り皿、造形的カーブを描く花かごなど。
最初のレッスン「作ってみよう」でのトウフさし、へらなどの“肥後守”で削り出して作るようなものは皆無。
周辺の生徒(みな先輩)が制作に取り組んでいるものを見ると、いずれも見事な繊細なものばかり。
いつになったらああいう竹編みが出来るのだろうと羨ましげに眺めていたら、お願いしてあった竹細工の道具一式(ノコギリ、ナタ、小刀、剪定鋏)と手袋を先生よりいただく。
さあ、竹細工のスタート、ヒゴ作り!
最初に作ってみたいと選んだテーマに必要なヒゴは、幅4mm、厚さ0.5mmのもの40本ほど、長さは30cm弱。
と言っても、最初のレッスンのように、「作ってみよう」とチャレンジしてすぐに、ペラペラに薄い4mm幅のヒゴを作り出せるものではない。
レッスンの残り時間わずかななかで、ヒゴ作りの要領を学ぶ。
目の前の席に座っている、ひと月違いで入会したTさんを見ると、竹細工のスタートはヒゴ作りには非ずとばかりに、なにやら竹身を削っている。
尋ねてみたところ、竹とんぼ作りをしているとのこと。
空気力学を専門とするTさん、竹とんぼのように飛んでって、行方不明になるとのうわさがある。
本人に聞いたところ、古代史の研究を趣味にしており、時折、史的興味を引くものを見つけると、皆の行動から離れてしまうだけとのこと。
決して、痴呆性徘徊ではないことを、本人に代わって伝えておきたい。
竹細工教室で空気力学の実践的工作を目指すTさんやそれぞれが制作期限なしの自由テーマで竹細工する生徒とそれを見守る先生。
心豊かな竹細工教室だと思う。




作ってみよう

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「鎌倉市教養センター」での竹細工教室「竹友会」最初のレッスン。
切る、割る、削ると言った基本操作、道具の使い方をひと通り学んだ後「作ってみましょう」に取り掛かる。
“肥後守”で鉛筆、木、竹を削って遊んでいた小学生時代に戻ったような気持ちで、無心に手を動かす。
帰宅後、「おかもとさんちのレシピ」で鳥のつみれ鍋。
簡単に作ることのできる実用性に富んだ竹の道具に感心。
とりわけ、トウフを壊すことなく、容易にキャッチできるトウフさしは、優れもの!
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竹細工教室最初の日

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「ABOUT」に書いたいきさつで、妻が、近くで出来るカルチャースクールのなかから、私むけに推薦してくれたのは、竹細工の教室。
「竹細工の店おかもと・ホームページへようこそ」 を読んだ妻が、さらに絶対の自信をもって、手続きの電話までしてくれた。
入会の申し込みをしたところ、早速、「・・・竹ひご作りや籠編みは指や頭を使うので“ボケる人はいないねえ!”と云うことになっています?」 という会の案内と「・・・ちょうど切り出してきた竹を煮る作業があるのでいかが?」という返信があった。
メールに添付されたパンフの『カッポ酒、そばやてんぷらなど・・、参加費無料・・』の文字が、すぐ、目に飛び込んできた。
あっ、合うあう趣味が合う!
竹煮作業の当日、オカモト先生はもちろん、参加早々から面倒をみてくれたシイノさん、会のとりまとめ役らしいイシハラさんオキヤマさんイチダさんの名前を記憶した。
最初に飛び込んだ日の明るく楽しい雰囲気に、おおいに安心し、満足した。
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◆タイトル

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